2003 脱活乾漆偶像 〜成〜 ( カイローン )  

  • 技法:脱活乾漆、研出蒔絵、平蒔絵、変わり塗り
  • 素材:漆、麻布、金丸粉、銀丸粉、乾漆粉、ガラスアイ
  • サイズ:W430×D305×H540mm
  • 個人蔵
  • 杜賞受賞 ( 卒業制作/東京芸術大学美術大学杜の会 )

 

  • Title : 〜 Dignity 〜 ( Kai-roun )
  • Technique : Dakkatu-kanshitu. Togidasi-makie. Hira-makie. Kawarinuri.
  • Material : Urushi. Hemp-cloth. Gold. Silver. Urushi-dust. Glass-eye
  • Size : W430×D305×H540mm
  • Private collection

 学生の頃に、約1ヶ月かけて中国〜チベットを旅した。この作品は、そこで出会った一匹の鶏がモチーフになっている。

 

 ある日、昼食をとった食堂の裏で小さな檻を見つけた。その中には、食用となる鶏や兎が数匹飼われていた。一生懸命餌をついばむ健気な姿は、今を懸命に生きる命の力強さに満ちあふれ、その眼は輝いていた。その姿を見ていた時、私の心に“輪廻”という言葉が浮かんだ。あらゆる生命は生死を繰り返し、一つに繋がりあっているという思想である。鶏も私も、同じ命で繋がっている事を認識した瞬間、その堂々と生きる鶏に、私は畏敬の念を抱かずにはいられなかった。この心を教えてくれた鶏への感謝の気持ちを、偶像として表現した。

 

 カイローンとは、“大人の鶏”という意味である。(タイ属ルアンテン村では、生活を支えてくれる鶏を崇拝する文化があり、その成長段階に応じて、尊敬の念を込めた様々な呼び名を付けている。カイローンとは、その呼び名の一つ)

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